最終更新:ID:iEezPhxOUA 2016年08月13日(土) 00:30:11履歴
弓兵・魔弾♀
「そーっと、そーっと。
うん、カルデアの人間は誰も気づいてないな。毒妹さんの気配遮断は流石の一言だ。協力を頼んで正解だったよ」
暗兵・毒妹♀
「えぇっと……お役に立てるのは嬉しいのですが、どうして私を……?
たとえば、生前に銃で動物を狩っていらした魔弾様なら、ご自身も私程度の気配遮断はお持ちになっているのでは……?」
弓兵・魔弾♀
「いや? 確かにボクは生前は猟師だったけど。アサシンの適性を持てるほど優秀な気配遮断の技術なんて持ってなかったよ。
もっと言うなら、本来アーチャーの適性だって薄い方だ」
「何せボクの狩猟の技術はぜーんぶ"撃てば絶対に命中する弾丸"――悪魔の魔弾によるものだったからね。実のところ、一番適性があるのはキャスターなのさ」
「で、毒妹さんを選んだ理由は簡単なことだよ。貴女は最近入って来たばかりのサーヴァントだからね、単純に仲良くなりたいんだ。
生前は友人とは――まあ、ちょっと、最後には仲良くできなかったからね」
暗兵・毒妹♀
「まあ、それはそれは……友達、ですか。私で良ければ喜んで」
「ところで何でこんな所に忍び込んで――さっきから何をカチャカチャしてらっしゃるんです?」
弓兵・魔弾♀
「ん? んー、レイシフト……だっけ。詳しい原理なんてボクにはさっぱり理解できないけど、要はこれは過去に行ける技術なんだろう?
それならこれを使えば、ボクが"殺す"ほど会いたかった彼に会うことが可能になるじゃないか! ……ん、電源ついた」
暗兵・毒妹♀
「そ、そんな無茶苦茶な……ま、マスター無しでそんなことが出来るんですか?」
弓兵・魔弾♀
「そこにコールドスリープしてる元マスター候補たちがいるでしょ?」
暗兵・毒妹♀
「ひえっ……(ドン引き)」
「……………………」
「……あれ? ええっと、その……それをカチャカチャいじっていれば――思い人に会えるかもしれないってさっき言いました?」
弓兵・魔弾♀
「うん、多分ね。ボクが愛していた頃のあのマックス! アガーテに汚染されて居なくなってしまったあのマックスに、ボクはもう一度会えるかもしれない――」
「って、ん? 毒妹さん。いつの間に真横に? なんで君もカチャカチャしてるんだい? 何触ってるか分かってる? なんだか、凄く嫌な予感がするけれど」
暗兵・毒妹♀
「お兄様……お兄様、お兄様。お兄様。うふふ、お兄様お兄様お兄様……」
弓兵・魔弾♀
「あ、駄目だ。聞いて無いやこれ。何かもうバチバチ鳴り始めてるし、手の施しようが無いね」
「まあ……ボクたちはちょっと似ているところがある。仲良くなれるかもしれないね。君の感情がずっとそのお兄さんに向けられてるなら、ボクの邪魔にはならないと思うし――」
「ま、ボクが君のお兄さんに惚れちゃったら……別だけどね」
――《レイシフト》――
暗兵・毒妹♀
「……はっ! お兄様!?」
弓兵・魔弾♀
「ボクだよ毒妹さん」
暗兵・毒妹♀
「あう! す、すみません! あの、ここは一体……?」
弓兵・魔弾♀
「さあ? 何処だろうね。あの装置がボクが理解していた通りのものだとすれば、何処かの世界の何時かの過去ってことなんだけど」
「でも、少なくともボクが来たかったボヘミアの地じゃ無いみたいだ。見覚えも無いしね……残念。残念だなぁ。もともと辿り付ける確率は低かったと思うけど、やっぱり残念だ」
暗兵・毒妹♀
「あ、あのー……魔弾さんはどうやってカルデアに帰るつもりだったんですか?」
弓兵・魔弾♀
「帰るつもりなんて無かったよ?」
暗兵・毒妹♀
「へっ!?」
弓兵・魔弾♀
「もしボヘミアに行けたらあの頃のマックスをずっと恋してたし、行けなかったらボクの魔弾で自殺するつもりだったからね」
「けど、今回は毒妹さんが一緒だし、死んで解決! って訳には行かないよね。どうしようかな……」
暗兵・毒妹♀
「そ、それはそれは……命は大切にしましょうね。でも……」
「あぁ、私は男の人だけならず、女の人と一緒でも不幸を呼び込む女なのでしょうか……」
弓兵・魔弾♀
「……いや、気にすることはないよ。ボクの幸運は最初からEだし、君の幸運だってEだ。むしろ二人合わさればこうならない方がおかしいと考えるべきだった」
「まあ気を取り直して動こうか! ここが何処で何時かも知りたいし、歩いていれば何か見つかるかもしれない」
???
「ああ、君ら二人が合わさった負の幸運はまさしく凄まじいものだった。
よもや幸運A+のこの私が不幸な事故に巻き込まれるとはな……ああでも、思えば私は生前もそんな感じだったか?
不幸の中で最大の幸運を得る、言うなれば悪運の強さが私の運の強さだった。ならば今の状況も納得だ」
暗兵・毒妹♀
「! だ、誰ですか!?」
騎兵・男装♀
「聞かずとも名乗るとも。サーヴァント、ライダー。アレクサンドル・アレクサンドロフ――まあこれも厳密には真名ではないのだが――
男染みた女という点において魔弾氏と盛大にキャラが被っている故、カルデアの先人として一家言くれてやろうと付けていた。
その折に貴殿らの起こした事故、いや、事件に巻き込まれたという次第だ」
弓兵・魔弾♀
「ちょっと酷くない? ボクはいつだって恋する乙女だよ」
騎兵・男装♀
「ほざけ劇物! まずその紛らわしい一人称を辞めたらどうだ! そんなだから物語では男として扱われるんだ!」
暗兵・毒妹♀
「け、喧嘩はいけませんよー!!」
騎兵・男装♀
「……そうだな。まあ、いい。今はいい。事態が事態だ。今は問題の解決に当たろう。
先ほど貴殿らが言っていたここからの移動だが――いくらサーヴァントといえども目的無く延々と彷徨うのは足に来るだろう。
故にこそ我が宝具、我が唯一無二の友を貴殿らに特別に紹介する。
例え向かう先が地球の裏だろうが未来の果てだろうが"彼"は必ず辿り付くだろう――『聡明なりし我が生涯の友』(トゥィ・ウ・メニャー・アジン・アルキード)!!」
暗兵・毒妹♀
「――わぁ……! すごい、とても立派なお馬さんですね!」
騎兵・男装♀
「ふふん、そうだろうそうだろう。我が愛馬アルキード!
かの名馬ブケファラスにも劣らない英霊だと確信している!」
弓兵・魔弾♀
「確かにこれは凄い大物だ……。魔弾の射手の相手には相応しい獲物と言える」
騎兵・男装♀
「お前蹴り殺すぞ」
弓兵・魔弾♀
「冗談だよ」
● ● ●
暗兵・毒妹♀
「ふわぁ、風が気持ちいいですね!」
弓兵・魔弾♀
「凄いなあ。ザミエルより、ずっとはやい!!」
騎兵・男装♀
「当然だ。アルキードが女三人程度乗せたところで速度を落とすなどあり得ない。……と、これは……」
暗兵・毒妹♀
「どうかしましたか?」
騎兵・男装♀
「戦の音が聞こえる。どうやらこの近場で何か戦いをしているようだ」
暗兵・毒妹♀
「えぇっ! それは大変です!! 急いで別の方向に――って何でスピードを上げてるんですか!?」
騎兵・男装♀
「愚問だ! 私だけならともかく、アルキードが付いているというのに戦いから逃げられる筈が無い!
戦場だ。戦争の時間だ! 皆の者私に続け! このアルキードが押し通る!!」
弓兵・魔弾♀
「……駄目そうだね。完全にハイになっちゃってる。これはボクたちも戦うしか無さそうだ。
ま、貴女が宝具を見せてくれたんだからお返しにボクも魔弾を見せてあげるよ。あいにく、もう宝具じゃあ無いんだけどね――!」
第二話→
「そーっと、そーっと。
うん、カルデアの人間は誰も気づいてないな。毒妹さんの気配遮断は流石の一言だ。協力を頼んで正解だったよ」
暗兵・毒妹♀
「えぇっと……お役に立てるのは嬉しいのですが、どうして私を……?
たとえば、生前に銃で動物を狩っていらした魔弾様なら、ご自身も私程度の気配遮断はお持ちになっているのでは……?」
弓兵・魔弾♀
「いや? 確かにボクは生前は猟師だったけど。アサシンの適性を持てるほど優秀な気配遮断の技術なんて持ってなかったよ。
もっと言うなら、本来アーチャーの適性だって薄い方だ」
「何せボクの狩猟の技術はぜーんぶ"撃てば絶対に命中する弾丸"――悪魔の魔弾によるものだったからね。実のところ、一番適性があるのはキャスターなのさ」
「で、毒妹さんを選んだ理由は簡単なことだよ。貴女は最近入って来たばかりのサーヴァントだからね、単純に仲良くなりたいんだ。
生前は友人とは――まあ、ちょっと、最後には仲良くできなかったからね」
暗兵・毒妹♀
「まあ、それはそれは……友達、ですか。私で良ければ喜んで」
「ところで何でこんな所に忍び込んで――さっきから何をカチャカチャしてらっしゃるんです?」
弓兵・魔弾♀
「ん? んー、レイシフト……だっけ。詳しい原理なんてボクにはさっぱり理解できないけど、要はこれは過去に行ける技術なんだろう?
それならこれを使えば、ボクが"殺す"ほど会いたかった彼に会うことが可能になるじゃないか! ……ん、電源ついた」
暗兵・毒妹♀
「そ、そんな無茶苦茶な……ま、マスター無しでそんなことが出来るんですか?」
弓兵・魔弾♀
「そこにコールドスリープしてる元マスター候補たちがいるでしょ?」
暗兵・毒妹♀
「ひえっ……(ドン引き)」
「……………………」
「……あれ? ええっと、その……それをカチャカチャいじっていれば――思い人に会えるかもしれないってさっき言いました?」
弓兵・魔弾♀
「うん、多分ね。ボクが愛していた頃のあのマックス! アガーテに汚染されて居なくなってしまったあのマックスに、ボクはもう一度会えるかもしれない――」
「って、ん? 毒妹さん。いつの間に真横に? なんで君もカチャカチャしてるんだい? 何触ってるか分かってる? なんだか、凄く嫌な予感がするけれど」
暗兵・毒妹♀
「お兄様……お兄様、お兄様。お兄様。うふふ、お兄様お兄様お兄様……」
弓兵・魔弾♀
「あ、駄目だ。聞いて無いやこれ。何かもうバチバチ鳴り始めてるし、手の施しようが無いね」
「まあ……ボクたちはちょっと似ているところがある。仲良くなれるかもしれないね。君の感情がずっとそのお兄さんに向けられてるなら、ボクの邪魔にはならないと思うし――」
「ま、ボクが君のお兄さんに惚れちゃったら……別だけどね」
――《レイシフト》――
暗兵・毒妹♀
「……はっ! お兄様!?」
弓兵・魔弾♀
「ボクだよ毒妹さん」
暗兵・毒妹♀
「あう! す、すみません! あの、ここは一体……?」
弓兵・魔弾♀
「さあ? 何処だろうね。あの装置がボクが理解していた通りのものだとすれば、何処かの世界の何時かの過去ってことなんだけど」
「でも、少なくともボクが来たかったボヘミアの地じゃ無いみたいだ。見覚えも無いしね……残念。残念だなぁ。もともと辿り付ける確率は低かったと思うけど、やっぱり残念だ」
暗兵・毒妹♀
「あ、あのー……魔弾さんはどうやってカルデアに帰るつもりだったんですか?」
弓兵・魔弾♀
「帰るつもりなんて無かったよ?」
暗兵・毒妹♀
「へっ!?」
弓兵・魔弾♀
「もしボヘミアに行けたらあの頃のマックスをずっと恋してたし、行けなかったらボクの魔弾で自殺するつもりだったからね」
「けど、今回は毒妹さんが一緒だし、死んで解決! って訳には行かないよね。どうしようかな……」
暗兵・毒妹♀
「そ、それはそれは……命は大切にしましょうね。でも……」
「あぁ、私は男の人だけならず、女の人と一緒でも不幸を呼び込む女なのでしょうか……」
弓兵・魔弾♀
「……いや、気にすることはないよ。ボクの幸運は最初からEだし、君の幸運だってEだ。むしろ二人合わさればこうならない方がおかしいと考えるべきだった」
「まあ気を取り直して動こうか! ここが何処で何時かも知りたいし、歩いていれば何か見つかるかもしれない」
???
「ああ、君ら二人が合わさった負の幸運はまさしく凄まじいものだった。
よもや幸運A+のこの私が不幸な事故に巻き込まれるとはな……ああでも、思えば私は生前もそんな感じだったか?
不幸の中で最大の幸運を得る、言うなれば悪運の強さが私の運の強さだった。ならば今の状況も納得だ」
暗兵・毒妹♀
「! だ、誰ですか!?」
騎兵・男装♀
「聞かずとも名乗るとも。サーヴァント、ライダー。アレクサンドル・アレクサンドロフ――まあこれも厳密には真名ではないのだが――
男染みた女という点において魔弾氏と盛大にキャラが被っている故、カルデアの先人として一家言くれてやろうと付けていた。
その折に貴殿らの起こした事故、いや、事件に巻き込まれたという次第だ」
弓兵・魔弾♀
「ちょっと酷くない? ボクはいつだって恋する乙女だよ」
騎兵・男装♀
「ほざけ劇物! まずその紛らわしい一人称を辞めたらどうだ! そんなだから物語では男として扱われるんだ!」
暗兵・毒妹♀
「け、喧嘩はいけませんよー!!」
騎兵・男装♀
「……そうだな。まあ、いい。今はいい。事態が事態だ。今は問題の解決に当たろう。
先ほど貴殿らが言っていたここからの移動だが――いくらサーヴァントといえども目的無く延々と彷徨うのは足に来るだろう。
故にこそ我が宝具、我が唯一無二の友を貴殿らに特別に紹介する。
例え向かう先が地球の裏だろうが未来の果てだろうが"彼"は必ず辿り付くだろう――『聡明なりし我が生涯の友』(トゥィ・ウ・メニャー・アジン・アルキード)!!」
暗兵・毒妹♀
「――わぁ……! すごい、とても立派なお馬さんですね!」
騎兵・男装♀
「ふふん、そうだろうそうだろう。我が愛馬アルキード!
かの名馬ブケファラスにも劣らない英霊だと確信している!」
弓兵・魔弾♀
「確かにこれは凄い大物だ……。魔弾の射手の相手には相応しい獲物と言える」
騎兵・男装♀
「お前蹴り殺すぞ」
弓兵・魔弾♀
「冗談だよ」
● ● ●
暗兵・毒妹♀
「ふわぁ、風が気持ちいいですね!」
弓兵・魔弾♀
「凄いなあ。ザミエルより、ずっとはやい!!」
騎兵・男装♀
「当然だ。アルキードが女三人程度乗せたところで速度を落とすなどあり得ない。……と、これは……」
暗兵・毒妹♀
「どうかしましたか?」
騎兵・男装♀
「戦の音が聞こえる。どうやらこの近場で何か戦いをしているようだ」
暗兵・毒妹♀
「えぇっ! それは大変です!! 急いで別の方向に――って何でスピードを上げてるんですか!?」
騎兵・男装♀
「愚問だ! 私だけならともかく、アルキードが付いているというのに戦いから逃げられる筈が無い!
戦場だ。戦争の時間だ! 皆の者私に続け! このアルキードが押し通る!!」
弓兵・魔弾♀
「……駄目そうだね。完全にハイになっちゃってる。これはボクたちも戦うしか無さそうだ。
ま、貴女が宝具を見せてくれたんだからお返しにボクも魔弾を見せてあげるよ。あいにく、もう宝具じゃあ無いんだけどね――!」
to be continued...
第二話→
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