わたしは人の為に生きようと思っていました。
 
 父様がそのように生きろと言っていたからです。
 
 父様は民の皆からとても慕われていました。
 新しく国を作り、よく治め、
 色々な建物を作って国を豊かにしていました。
 その中で、大きな石を積んで作った
 とても大きな三角の神殿をわたしは気に入っています。
 
 父様のことを優しき賢王と民は呼びます。
 エジプトに輝かしい時代を築いてくれた人だと。
 
 わたしは父様が嬉しそうにしているので
 わたしもまた、嬉しくなりました。
 
 しかしこれは大変なことなのです。
 父様が凄いということは、この後を継ぐわたし
 このクフもまた、父様よりも賢く、
 そして優しくあらねばならないのです。
 
 父様と比べられるのは本当に大変なことです。
 
 もうすぐわたしもファラオとしての言葉遣いや、
 振る舞い、戦い方などを教えられるでしょう。
 わたしにファラオとしての才能があるかなんて
 まだぜんぜんわかりません。
 でも、精一杯がんばってみたいと思います。

 わたしはエジプトの偉大なるファラオ。
 迷える民を導ける人間の王になるのですから。
10歳



 我は人。されど神へ通ず。
 我は王。されど人に過ぎぬ。
 
 我神に非ず、我は人なり。故に我が力を以て神下へ昇らん。
 我神の子に非ず、人間スネフェルの子。
 故に父なる石の階を以て神下へ昇らん。
 
 
 我が墓を建てよ。
 
 
 この先一千年、否、二千年先も比肩する物無き
 巨いなる神殿を建造せよ。
 この先三千年、否、四千年先も滅びること無き
 不朽なる神殿を建立せよ。
 
 国庫は総て解放せよ。
 
 技師は石を切り出せ、呪い師は保質せよ。
 計算家は設計せよ。大工は石を積め。
 農民は運搬せよ。医師は無事と言え。
 奴隷は総て総て雑事に充てよ。
 
 暇ある者、職ある者。一切の区別無く働かせよ。
 
 抗う人間は贄として殺せ。
 それもまた神へは必要なり。
 
 我の下で働け。働かぬは逆賊なり。
 我が手で直接罰を与える。いずれ神罰となる断罪である。
 資源も民も王も国も、全て我が神となるための階である。
 我は暴君。エジプトの王なり。
20歳


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