人間には原罪があるらしい
生まれながらの罪,と言われるものだ
人間は他者の命を少なからず奪っている,それが避けられない罪なのだと
ならば兵器である自分の原罪とは
目の前にいる「コイツ」こそが―――

ゴジラ対サーヴァント
怪獣大決戦

「ここどこよ」
「レイシフトでは無いみたいね」

魔弾,森番,カニは気が付くと荒廃した街にいた.
以前レイシフトした東京を思わせるがどうも違うらしい.

「マスターのパスは繋がってるみたいだがどこにいるかわかんねーな」

三人の前に一人の男が表れた.

「おお!御三方が来てくれたか!俺のガチャ運も捨てたものではないと見える!」

その男は爆弾と呼ばれるサーヴァントだった.

「あなたが呼んだの?」
「説明が欲しいぜ,ここはどこだ?」
「うむ,ここは俺の内部,人間の核兵器の感情が渦巻く概念を具現化した世界である」

俺の力の源みたいなものだな,と爆弾は続ける

「なぜ御三方を呼んだかというと………ふむ,ちょうど来たようだな」

ズシン,ズシンと地面が揺れる.三人が振り向くとそこには

「Gyaangooongyawaaaaaan!!!」

巨大な黒い怪獣がビルの影から現れた.

「何よこれ!?」
「でっかいわね〜」
「ヒュドラちゃんよりちょっと大きいぐらいか?」

まだ距離がありこちらには気が付いていないようだ.

「あれは怪獣王ゴジラと言ってな,人理焼却された今,核兵器の概念を滅ぼし無かったことにしようとしているのだ」
「まあ俺がいなくなったところでまた別の兵器が生まれると思うのだが」
「カルデアにいる俺に何が起こるかわからんのでな,奴を倒したいのだ」

「じゃあ爆発すればいいんじゃない?良く知らないけど核なら余裕なんじゃないの?」

その言葉に爆弾は苦虫をかみつぶしたような顔になる.

「そうしたかったのだが奴は核兵器無効スキルを持ってるようでな」

「それで俺たちを呼んだのか」

「マスターのパスを手繰ってな,ここは俺の内部,色々融通が付くのだ」
「なのでどうか!どうか戦ってほしい!出来る限りのサポートはする!」

「仕方ないわね,カルデアの仲間だし守らなくちゃね」
「神代の怪物の前で怪獣王なんて大層な名前出されちゃ黙ってられないな」
「このメンツならボクいらなくない?」

「感謝する,では魔力をマスターのパスを経由して譲渡する,思いっきり戦ってくれ」

「じゃあ私からいくわね,一番対抗できそうですし」

森番の姿が巨大な怪物へと変わっていく.
その姿はかの英雄王すら策を弄した最古の怪物である.
ゴジラもその巨体に気が付きこちらに向かってくる.

「■■■■ッ!」
「Gyaooooooon!」

巨大な質量がぶつかり合い,衝撃が空間を伝わりこちらまで震える
森番がゴジラの顔を殴る,
ゴジラも怯まず殴られた勢いで一回転しその巨大な尻尾を鞭のようにしならせ森番を吹き飛ばす
森番がぶつかりビルは崩れがれきに埋もれるが,がれきをどかしゆっくりと起き上がり睨む
ゴジラも追撃はせず森番を睨みつけている

ゴジラの背びれが発光を始める.熱線を吐く前兆だ.
対するように森番も息を吸い込む.伝承で森番は息は洪水,口は火,息は炎だと言う.
二匹のブレスが同時に撃たれ空中でせめぎ合う.

「互角かッ!」

熱線のシーソーゲームはどちらにも傾かず中間で止まっている.
だが互角ではいけない.今のゴジラは爆弾と同じく世界のバックアップを受けている状態だ.
こちらは爆弾も同じ条件だが無理に繋いだパスゆえロスがあり,徐々に世界が削られている.
いずれはこちらが消耗し敗北する.短期決戦に臨むしかない.

「今ですカニ殿!」
「行くぜヒュドラちゃん!魔獣棲沼(スワンプオブレルネー)!」

レルネーの沼が形成されヒュドラが召喚される.
ヒュドラが二匹の争う横から思いっきりぶつかった.
狙いはヒュドラの毒,不死すら死を乞う最上位の毒である.
九つの頭がゴジラに咬みつき,毒を送り込む.
ゴジラが暴れ,組み付いたヒュドラを振り払う,だがもう遅い.
ゴジラがもがき苦しみ始めた.

「よし,距離を取って毒が回るまで……」

「待って,まだアイツは戦えるよ」

魔弾の狩人の勘が言っていた.まだ仕留めていないと,そして手負いの獣はここからが危険だと.
もがいていたゴジラの体が赤く光り始める.
全身から蒸気が上がり,傷口から沸騰した血が噴出している.

「馬鹿な!?」

背びれがバチバチと赤く発光し,口に先ほどとは比べものにならないエネルギーが溜まる.
狙いは爆弾だ.

「まずい!」

サーヴァントの脚力を用いその場から全速力で退避する.
辛うじて回避するがその余波で飛ばされる.

「大丈夫?」

「ああ,だがどうしたものか」

森番とカニがゴジラに向かっていく.遠距離でブレスを撃たれないためだ.
その間に爆弾と魔弾が隠れ,対策を練る.

「おそらくあの状態は長く持たない,いずれ自壊するはずだ」
「だが,それまで俺たちとこの空間が持つのか…」

「それじゃあボクの宝具の出番ね!」

魔弾の宝具,それは悪しき運命を呼び込む宝具だ.
今のゴジラに打ち込めば自壊を早められるかもしれない.

「では我々は宝具をオーバーチャージの時間と当てる隙を作らないとな」

魔弾が宝具の準備を始め,爆弾が飛び出す.
ゴジラは彼を優先して狙う.ここにいては邪魔だ.
ゴジラがこちらに気が付く.こちらに向かおうするが,森番とカニがそれを許さない.
無理矢理に熱線を放つが,狙いはおおざっぱだ.当たれば即死のそれを回避し続ける.

「ヘラクレスに比べればこの程度!」
「■■■■ーーー!!!」

カニが足を攻撃しバランスを崩す,そして森番がゴジラを引きずり倒す.

「今だ!宝具を!」

爆弾のありったけの魔力を三人に注ぎ込む.

「神の森(ゴッドフォレスト)!」

周囲を森に変え,味方に加護を敵に呪いを与える

「もういっぱつ!魔獣棲沼(スワンプオブレルネー)!」

倒れたゴジラの地面を沼に変え,動きを制限しダメ押しのヒュドラの毒だ.

「忌むべき貴方にこれを贈ろう――葬礼の銀冠(グルック・フォン・アガーテ)!」

魔弾と化した銀冠がゴジラの心臓を撃つ

「これで…」

息を飲みゴジラを見る.
ゴジラは,立ち上がり,こちらを一瞥し,一度大きく吠え,光の粒子に還った.

「なんとか倒せたわね」
「つ,疲れた」
「もうごめんよ」

彼らも光に包まれる.本来の場所に帰っていくのだ.

「本当に感謝する,あなたたちがいなければ勝てなかった」
「今度何かお礼しなさいよ」
「もちろんだとも」

みなが帰り爆弾だけががれきの山に残された.
振り向くと真っ黒な人影がそこにいた.
この影こそ怪獣王を召喚した主である.

「私はお前のような兵器を絶対に認めない」

それだけ言うと影は消えた.

「言い返す暇も与えないとは」

肩をすくめ歩き出す.周辺のがれきの下からうめき声が聞こえ始める.
ゴジラに向かっていた核兵器への恨みがまたこちらに来ているのだ.
適当な場所に座り目をつむる.世界の修復が終わればまたカルデアに戻れるだろう.
怨嗟の声を聴きながら彼はカルデアに戻っていく
人類を救うために

このページへのコメント

まずタイトルのインパクトに噴きましたが、中身はシリアス…怪獣大決戦は想像するとかなり迫力ありますね

0
Posted by 暗兵・カニ♂ 2016年08月18日(木) 01:08:28 返信

やっぱしぶとくて強いゴジラ、最近は人類の脅威って感じで復活してるし

0
Posted by 魔兵・淫王♂(混沌・中庸) ◆7xuwBG6R9k 2016年08月16日(火) 02:39:55 返信

作成乙です!
憎しみを向けられても尚人類の為に戦う……渋くてカッコいいですね。
怪獣大決戦も迫力があって面白かったです。

0
Posted by 暗兵・盛衰♀(秩序・悪) 2016年08月16日(火) 02:30:49 返信

作成乙です!
とてもゴジラも鯖達も迫力があってカッコよかったです
あのジジイまだ何か企んでますね…

0
Posted by 魔兵・反核(中立・悪) 2016年08月16日(火) 02:24:16 返信

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