人理継続保障機関フィニス・カルデア。
日々、新たな英霊(たまにだがなんで君出てくるの?的な英霊も出てくるが)が呼ばれ、
駄弁ったり漫才したり、パンツ取られたり弄られたり写真集売ってたりとにぎやかな場所である。
そんな一画にこの日、二人のサーヴァントが駄弁っていた。



『いやー、まさかあの写真ちゃんと現世ちゃんが付き合うなんて思いもしなかったな』

そう言うのは暗兵・不視である。テーブルに置かれているたい焼きを食べながらそんなことを言う。

「ああ、まったくだ。だが、思い返してみれば当然の事だと思えるね。狂犬君には悪いがなかなかお似合いのカップルだと思うよ彼らは」

その不視の言葉に対面に座る、調停・交渉が何やらチクチクと裁縫しながら言う。

『僕としてはその現場にいなかったことを悔やんでるけどね。ところで、交渉ちゃんとしてはやっぱり寂しいかい?』
「なに、たとえ現世君が写真君と恋仲になろうとも私と現世君の間にある友情には1ヨクト(10^-24)の変化もないさ」

そう言いながら、チクチクと縫っていた作業をいったん終え、テーブルに置かれていたカップを取る。

「それに、あの二人を皮切りに狂犬君と盛衰君の中も進展し始めている。噂では幼性君にもそのような噂があるぐらいだ」
『へー、狂犬ちゃんと盛衰ちゃんは聞いていたけど幼性ちゃんもね。交渉ちゃんもそういった相手はいないの?』
「なに、私には新庄君がいる。今は会えなくて寂しいが、私の記憶には一切色褪せることなくあのマロい尻を思い出せるかな。それだけでご飯は3杯いけるさ」

そう言いながら、交渉はカップを置き、再びチクチクと裁縫を始める。





「そう言う、君にはそういった相手はいなかったのかね?・・・今とそれから生前も」

しばらくして、交渉は不視にそんな問いかけをする。

『僕?残念ながら僕にはそういった相手はいないよ。生前も含めてね』

交渉の問いに、不視は笑いながら答える。

『交渉ちゃんは知って、・・・いや、覚えていると思うけど、生前の僕は山の翁だった』
『中東における、暗殺教団の教主。それが僕だ』

そこまで言うと不視は視線を上に向ける。

『でもね、本当は言うと。僕は本当に不視のハサン・サッバーハなのかも分らないんだよ』
『不視のハサンはその情報が一切ない。かろうじで分かっているのは男だということだけ』
「だから、僕はこのカルデアにいる他の英霊たちと違って誇れる逸話が無いんだよ」

それは、ここに居る不視のハサン偽りざる本音。カッコつけずに言う彼の・・・不視のハサンの後悔である。

「そうか。まぁ、私にそれを言ったところでどうしようもないがね」
『だよねー』


「おや、珍しい組み合わせですね?」

しんみりとした空気に第三者の声が入る。
その声に二人がそちらを向くと一人の女性が。
首からカメラを提げた女性、復讐・写真がそこにいた。

『おや、写真ちゃんじゃない?今日は現世ちゃんと一緒じゃないの?』
「確かに、せっかく告白したんだから一日中べったりしていても構わんのだよ。膝枕して頭ナデナデしたりとか」
「えっ、いやそんなさすがに恥ずかしいと言いますか、なんて言いますか・・・」

不視と交渉の言葉に顔を真っ赤にしてもじもじとし始める写真。

「見たまえ不視君。あの写真君がああもなっている。完全に恋する乙女だ」
『ぶっちゃけ、今まで散々やってたことなのに今更恥ずかしがっても遅いんじゃないかな?』

そんな写真を見て、不視と交渉は話すが恋は盲目と言うか、写真はまったく気にしていなかった。まさに幸せの絶頂と言う感じである。

『でもまぁ、写真ちゃん気を付けなよ』
「何がです?」

幸せ絶頂の写真に不視は言葉をかける。

『現世ちゃん。ついこないだ知らない女性とベットを共にしてたんだから』

不視の言葉にピシリと空気が固まる。写真の顔も固まる。

「えっ、なんの話ですか?」
「うむ、夜遅くに襲われたとか」
『縄で縛ったとか』
「そのまま、朝まで共にしたりと」
『いやはや、現世ちゃんも随分とアブノーマルだね』

・・・・彼、暗兵・現世の名誉の為にも言っておくが、この話は本当であるが真実ではない。
詳しいことは幕間「現世君の受難あるいは交渉の愉悦」を呼んでもらうと分かる。
しかし、そんなことを知らない写真は愛しの彼がそんなアブノーマルな性癖を持っている(持っていないが)と言うことで完全にその顔を凍り付かせていた。
本来なら彼女もそんな与太話を信じないが、目の前にいる相手が悪すぎた。
かたや情報抹消や情報操作に人生を捧げた暗兵・不視。かたや交渉のスペシャリストである調停・交渉。
と言うか、真相を知っている目撃者とそもそもの元凶である。まさに畜生もドン引きの所業である。
ちなみに二人に悪意はこれっぽちも無い。最悪である。救いなんてなかった。

『まぁ、写真ちゃん。現世ちゃんも悪気があったわけじゃないんだし、いつ別れるか分らないんだから、今を大切にするといいよ』

いまだ凍り付いている写真を見ながら声をかける不視。

「不視さん」
『何?』

そんな不視の手を取り微笑む写真。

「今の話。詳しくお聞かせ貰えないでしょうか?」

見る人が見れば見惚れる様な笑顔。ただし、目は全く笑っていなかった。

『あれー?』
「まぁ、そうなるだろうさ」

そんな二人を見て、交渉は1/1スケールの新庄君抱き人形の完成を目指した。














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(ポーン!!)
暗兵・不視のマテリアルが更新されました。

このページへのコメント

二人の会話が哀愁漂っててシブい感じでかっこよかったです!
そして写真さんとの会話は残当……!

0
Posted by 暗兵・盛衰 2016年08月16日(火) 15:58:42 返信

登場させていただきありがとうございます!面白かったです!
間違ってない、間違ってないですけど……

0
Posted by 復讐・写真 2016年08月16日(火) 12:01:07 返信

間違ったことは言ってないんだよなぁ・・・!

不視君と交渉の会話、というかちょっとおかしな友情、好きです。
これからも絡んでやってください。
とても楽しかったです。

0
Posted by 調停・交渉(♂) 2016年08月16日(火) 06:17:05 返信

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